
仕事とバスケを両立しながらプロを目指す——
そんな新しい挑戦の場として2024年4月に産声を上げたRed Monsters(鹿児島)が、設立わずか2年目で全国の頂点に立った。
「仕事しながらプロを目指す」。鹿児島発、前例なき挑戦
Red Monstersは、Wiz・鹿児島レブナイズ(B2)・鹿児島県バスケットボール協会の三者が共同で立ち上げた、国内でも珍しいセカンドチームプロジェクトだ。Bリーグの選手を目指す若者の受け皿となることと、選手のキャリア形成を支援することを目的に設立された。
選手はWiz鹿児島支社の正社員として法人向けIT営業に従事しながら、終業後に週4〜6日、1回約2時間の練習に励む。バスケットスキルだけでなく社会人スキルも磨ける環境は、プロを志す選手たちにとって新たな選択肢となっている。
チーム名は、鹿児島レブナイズの原点「鹿児島レッドシャークス」にちなんで命名。ヘッドコーチには元レブナイズ主将で、背番号41が永久欠番となった松崎圭介氏が就任した。
チーム力が導いた、設立2年目の全国制覇
2026年2月21日から23日、京都府で開催された「第8回全日本社会人バスケットボール選手権大会(京都大会)」で、Red Monstersが男子の頂点に立った。設立2年目、初優勝という快挙だった。
前年大会では3位という結果を残し、全国レベルの手応えをつかんでいたチーム。しかし今大会を前に、松崎圭介ヘッドコーチ(HC)はある課題を感じていた。「今年のチームは昨年よりも個のレベルは高かった。ただ、チーム力という部分で少し劣っていた」。
そのチームをひとつにまとめ上げたのが、キャプテンの山西大翔だ。「新チームになってメンバーが半数以上入れ替わりました。既存メンバーと新規メンバーがしっかりコミュニケーションを取り合って、最後に一つのチームとしての形をつくれた」。松崎HCも「チームが本当に一つとなって戦い抜けたことが優勝できた要因だと思っています」と振り返る。
優勝の勢いそのままに臨んだ3月の「高松宮記念杯 第8回全日本社会人バスケットボールプレミアムチャンピオンシップ(熊本大会)」でも、Red Monstersは存在感を示した。初戦でSB-2所属のLake Blue(滋賀県)を80対67で下し、2回戦ではSB-1の横河電機WILDBLUEに73対78と惜敗しベスト8。格上の実業団チームと渡り合い、チームの実力を改めて証明した。
仕組みが生んだBリーガーたち
設立からわずか2年で、その成果は数字に表れている。
秋山慶哉はRed Monstersでの活躍をトップチームに認められ、鹿児島レブナイズへ昇格しBリーグ契約を果たした。川畑颯太郎はRed Monstersに所属しながら競技を続け、鹿児島レブナイズ練習生としての経験も積んだ。その努力が実り、2025-26シーズンより山形ワイヴァンズ(B2)と正式契約を締結。社会人として働きながらBリーグの舞台をつかんだ。
元鹿児島レブナイズキャプテン・武藤修平選手はプロキャリアをいったん終えた後もRed Monstersでプレーを続け、2025年11月に鹿児島レブナイズへ再契約しB2の舞台に戻った。
仕事をしながら競技を続けたことが、プロ復帰への道を開いた形だ。仕事をしながらプロを目指す場が、複数のBリーガーを着実に生み出している。
松崎HCが選手たちに求めるのは、バスケットの強さだけではない。表彰式終了後、選手たちは自チームのベンチを丁寧に直していた。「椅子の片付けといった小さなことも含め、人間性という部分でもステップアップできるように。それが今後のキャリアにつながっていけるチームでありたい」。山西キャプテンも言う。「仕事もバスケも、両方できる方がかっこいい。会社の人に融通をきかせてもらっている。その人たちへの恩返しの気持ちで戦いました」。
仕事とバスケの両立を強みに変え、選手権の頂点をつかんだRed Monsters。その姿は、社会人バスケットボールの新たな可能性を静かに、しかし確実に示している。