SBL
Columun SBL/Documentary

笠戸ブレイブスターの”勇者”がSB1の王者に挑む
ミツウロコ戦で掴んだ課題と手応え

社会人最高峰リーグのSBL-SB1は、7月11日-12日の両日、国立代々木競技場第二体育館で東京ラウンドが開催され、今季からSB1に昇格した笠戸ブレイブスター(山口県下松市)と、前シーズンの王者であるミツウロコの対戦が注目を集めた。笠戸は56-84で敗れたが、SB2とは異なるレベルを前に、キャプテンの木村美月選手(#13)と、梅田貴之ヘッドコーチ(HC)に、王者との対戦で見えた課題や、今季に懸ける思いを聞いた。

“United as one”の精神で王者に挑むも、初勝利ならず

女子SB1は、6月27-28日の秋田ラウンドから全8チーム中、4チームが先に開幕を迎え、笠戸も名を連ねた。そのため、ミツウロコとの対戦は、SB1に昇格して3試合目。SB1の強度や雰囲気にも少しずつ慣れてきた中で、ディフェンディングチャンピオンとの顔合わせとなった。

第1クォーター(Q)序盤は硬さも見られ、一時は9-23と離されるが、ゴール下に切り込む動きや、ペイントタッチから外角にパスを供給し、3ポイントシュートを生み出すなどリズムを掴むことに成功。20-26で第1Qを終える。

「自分たちのバスケットは走るバスケットなので、そこを体現できる時は良い点数の取り方だったり、良い流れを持って来れていました」と木村選手は振り返る。

しかし、第2Qはディフェンスのギアを上げたミツウロコに対して2得点しか奪えず、22-46と大量ビハインドで前半戦を終えた。

「(ミツウロコはサイズがあるので)リバウンドは気をつけていたんですけど、ディフェンスリバウンドを徹底できなかったです。そこが2ピリの敗因だったかなと思います」と梅田HCは反省を述べた。

スタッツを見れば、トータルのリバウンド数はミツウロコの37本に対して、笠戸は40本とリードしたものの、セカンドチャンスを与えてしまった内容も多かった。

後半ではリバウンドやルーズボールの球際で戦う姿を見せたり、第3Q終盤はオールコートディフェンスをしかけたりと、流れを引き寄せる時間帯も作った。しかし、フリースローを17点分与えてしまい、最終スコアは56-84で今季初勝利とはならなかった。

「第2Qに相手のリズムでやられてしまい、自分たちのやりたいバスケットができなかったです。そこで点差を離されてしまったことが、すごく悔しかったです」と木村選手も分析する。

それでもチームは大切にしている「United as one(一致団結)」の精神で最後まで戦う姿勢を示し、ベンチでも鼓舞する声が発せられていた。

「40分間戦い続けるということは、常に選手たちにも言っています。みんなでシュンとなってしまうのではなく、助け合ってチーム力で勝っていくしかない。そこは常に伝えているところです」と梅田HCも強調する。

練習時間を増やして対人練習も増加
走って、守るスタイルをSB1クラスに

笠戸は2024年度からチーム強化と新たな挑戦を目的に一般社団法人化。前身の日立笠戸女子バスケットボール部から、最後まで諦めずに挑戦し続ける勇者(ブレイブ) と「星降るまち下松」の夜空に輝く星(スター)と勝ち星を組み合わせ、「笠戸ブレイブスター」として新たな歩みを進めている。

強豪ひしめくSB1に挑戦する笠戸だが、昨季の高松宮記念杯では、一回戦でOTC ANCHORS(昨季SB1/8位)を下し、二回戦のミツウロコ戦(同/1位)では、69-77と敗れたものの、接戦を演じていた。

また、今季は5名の新人選手が加わり、昨季よりも練習の精度は上がっていると、木村選手は話す。梅田HCも「フィジカルやスピードなど、いろんな面で(SB2とSB1は)違うと思います。練習の時間も長めに取り、対人の練習も行い、『しっかり守って40分間走れる』練習をしてきています」と話す。

40分間強度を継続することは決して簡単なことではないが、ミツウロコ相手にも流れを掴む時間帯や、タイムアウトを取らせるプレーもあった。しかし、東京ラウンドを終えた現在、今季のリーグ戦では未だ、SB1の牙城を崩すことはできていない。

「チャンピオンシップの時に、ミツウロコさんと対戦させていただいて、その時よりも(ミツウロコさんの)レベルが上がっているところがあったり、そこに立ち向かえない自分たちがいたので、これから修正していこうと思います」と課題に言及するも、決して下は向いていない。

応援の力は「本当に力になる」
勝ち星を輝かせて恩返しへ

「SB2の雰囲気とは違って今日の会場など、大きな会場でやらせていただくことに、まだ緊張感はあります。これからもっと慣れていく必要もあるし、(相手の)歓声にも負けないように自分たちの声を大きく出して、勝っていきたいです」と木村選手は意気込む。

新たな環境にはまだ慣れきってはいないだろう。それでも、笠戸を応援しに駆けつけたファンや関係者の声は選手たちの背中を後押しした。

「山口県から応援に来てくださる方々がいて、それは自分たちの力になります。応援をしてくださっている方々にも勝利という形で恩返しできるように、一勝でも多く勝っていきたいです」

梅田HCも「企業のチームだった頃は、ちょっと甘えている部分は確かにありました。ただ、今は一般社団法人のチームとして、選手たちもいろんな企業で働いています。だからこそ、見ている人たちに感動を与えたり、応援していただいている方に感謝の気持ちを伝えたりしながら、しっかり結果を残せるように頑張っていきます」と力強く語る。

SB1昇格1年目のシーズンはまだ始まったばかりだ。王者との差を突きつけられた東京ラウンドだったが、笠戸ブレイブスターが勝ち星を輝かせる日はそう遠くないはずだ。