
2026年に開催される青森国スポ(国民スポーツ大会)に向けて、2025年に再出発を果たした青森CYGNUS NEXT(シグナスネクスト)。今回はチームの運営を担う髙橋辰佳代表理事、中村喜貴ヘッドコーチ(HC)、下山貴裕選手(以下、下山貴/#15)にチーム運営のやりがいや、社会人カテゴリーが持つポテンシャルについて聞いてみた。
対談メンバー

髙橋 辰佳 代表

中村喜貴 ヘッドコーチ

下山貴裕 選手
発足当初のメンバーにも感謝している
このチームが立ち上がった経緯を教えてください。

「青森国スポを目指すためにチームを強化しましょう」と発足したのがそもそものスタートです。最初は本当に5人とか6人でスタートして、このリーグを戦ってきたんですけど、退場者が出て5人揃わないといったことも経験しました。今こんなにたくさんのメンバーが揃っていて、頑張ってくれているメンバーにはすごく感謝しているんですけど、チーム発足当初に一緒に戦ってくれた選手たちにも本当に感謝しています。
ここまで拡大することができたエネルギー源はどこだったのでしょうか?

前身となるチームの運営が難しいという状況になってから、ちょうど最後の試合が青森県で行われた全国大会(高松宮記念杯第7回 全日本社会人バスケットボールプレミアムチャンピオンシップ)でした。その後もチームを存続させるために、僕の方でどうにかできないかということで、チームの選手やスタッフ、みんなのためにいろいろ動いていました。

プロではなく社会人のバスケットボールチームではあるんですけど、僕自身もプロだったという経歴があります。お世話になったスポンサーさんに「2026年の青森国スポに向けて頑張っているチームがあるので、ご尽力いただけないか」ということで動いていました。ただ、スポンサー費を使わせていただいて活動するにあたっては、信頼がないとできないものなので、一般社団法人を立ち上げる方向で進めていました。ですが、簡単には設立できないという中で、代表を探していた時にご縁があって、今代表をやってくださっている髙橋辰佳さんと出会いました。そこでようやくCYGNUS NEXTを発足できたんです。法人としては一般社団法人アルビレオを立ち上げましたが、髙橋さんに出会えなければ今の成績も、この2年間の活動実績も何もなかったので、ずっと感謝しています。
髙橋代表は話を打診された当時の心境を振り返り「荷が重い」とありました。現在はいかがでしょうか。

(代表を引き受けた)昨年からバタバタと1年が過ぎました。昨年から一緒にバスケをやらせていただいて感じたことが、既存の選手やスタッフのみなさんの意識が高かったことです。生半可な気持ちで代表を引き受けることは失礼だと思ったので、できる限りのことは協力していこうという気持ちになりました。ベンチの雰囲気も良いですが、そこはこれまでの積み重ねで今があると思うので、そこは大事にしていきたいです。国スポの主体チームである以上は、国スポでも良い成績を残せるように、チームから気持ちよく送り出したいなと思います。
この3人が集まってお話する時はあるのですか?

プロチームではありませんが、スポンサー様を募っているので、その挨拶回りで一緒に行動して、ご飯を食べたり、少しお酒を飲んだりすることはあります。ですがシーズン中は後泊もないし、前泊したとしても、お酒を飲んでプレーすることはありません。勝ちに貪欲で必死なので、そこまでの余裕はありませんね。バスケを楽しんでないわけではないです。バスケが大好きで真面目なメンバーが集まりました。上下関係はもちろんありますが、みんな顔馴染みで「友達」っていう感覚。ラグビーじゃないですけど「ワンチーム」のような雰囲気があります。

応援していた選手が社会人チームへ
先ほどのキャプテン座談会ではベテランの下山大地(以下、下山大)選手が、いじられ役でした。

チーム練習は週に1回ですが、平日でも「ナイターバスケ」があるので、中学校をお借りしたり、市民体育館や県営の体育館を借りたりしながら、それぞれの地方でバスケをやっています。普段から連絡を取り合って、「みんなでやろう」みたいな真面目な集団ですね。

気遣いのオンオフができていますよね。下山大地選手が途中から加入しましたけど、みんな知っている人なので、いじるキャラでもあります。逆にゾーンに入った時はその雰囲気を感じ取れる。良い意味でいじるタイミングがわかっているなと思います。
下山大選手はチームではどのような立場なのですか?

下山大さんは自分の世界観を持っている方です。「ここはみんなでいれば楽しい」や「ここは自分に集中したい」を分けられる方なので、そういうメリハリをみんなも感じ取れるし、大地さん自身もそれを感じ取れる。この前、天皇杯予選に向けた練習があったんですけど、僕は行きましたが、下山大選手は来なかったんですよ。でも「次行かないと顔が立たないな・・・」みたいなことも言っていましたね。なんだろう。面白いです。

下山大選手に副キャプテンをお願いしたのは僕ですが、プロとしてのプレー経験もあります。青森県民にとって憧れの選手であり、みんなが応援していた選手なので、リーダーシップはありますし、言葉の重みや厚みもあります。そういうところでキャプテンではなく、副キャプテンとしてチームやキャプテンを支えてほしいと思っています。キャプテン、副キャプテンが喜貴HCと話しながらチームをまとめてくれているので、僕は運営と選手の活動に専念できています。チームの中でみんなが役割を全うしているから、このチームが成り立っていると常日頃から感じています。

社会人はもっと価値のあるカテゴリー
下山貴選手は運営側の楽しさや難しさをどのように捉えていますか?

僕が選手側から運営側に行くことは正直イメージしていませんでした。でも、このチームでやるなら僕しかないと思ったので腹を括って、チームのため、自分でもプレーしたいと思って動いていました。僕がやらなければこのチームはなかったのかなと思っています。でも、僕一人の力では絶対にこのチームは出来上がらなかったんです。チーム名もそうですし、デザインも、僕の中で案はあったんですけど、やっぱり最後は一つにまとまらなくて。できるかできないか分からないチームのために、みんなに意見をもらいながら進めてきました。スポンサー様も、チームのみんなも、本当にみんなで支え合ったからこそ、今このチームがあります。

運営は正直難しいんですけど、やって良かったと思っています。もちろん結果がついてきたというのもありますが、それ以上に僕自身は、支えてもらってきた側の人間なので、改めて「支えてくれていた人たちは、こんなに苦労していたんだ」と痛感しました。逆に、これまでやってもらってきたことを、今度は僕が違った形でいろんな方に返せているのかなと感じる部分もあって。そういう意味では楽しんでやれています。


「楽しいか」って聞かれると、正直ちょっと難しいんです。今日も何名か青森からわざわざ応援に来てくれている人がいるわけですよ。その光景を見た時に、「楽しい」とはまたちょっと違うんですけど、「やってて良かったな」ってすごく思うんです。「なんでこんなチームになったんだろう」って考えた時に、やっぱり選手たちが一生懸命やってくれている。大人だけど仕事も一生懸命だし、バスケットボールにも一生懸命。それを見ていると、スタッフとしては「楽しい」というより「うれしい」です。そういう選手たちを見ることも、応援してくれる人たちを見ることも、すごくうれしいです。

今おっしゃっていただいたように、仙台まで見に来てくれたり、先日の天皇杯予選の時は地元開催だったこともあって、本当に多くの人が集まってくれたりして。あの光景を見ると「本当にやって良かったな」と思いましたし、「応援されているな」というのをすごく感じます。選手たちもそれに応えてくれています。あと、なんとなくなんですけど、学生チームの延長のような雰囲気もあって。私自身も大学までバスケをやっていたので、懐かしさと、「今でもこういうことができるんだ」という、ちょっと不思議な感覚があります。楽しませてもらってます。

バスケットボールから離れてしまっている人たちもいると思います。その人たちにも向けて社会人バスケの面白さを教えてください。

プロじゃなくても「こういう環境がある」っていうことを、もっともっと知ってほしいんです。僕自身、プロを引退した後、もともと「青森国スポのために地元に帰ろう」という思いがあって、このチームに関わることになりました。実は弟がこのチームに所属していたので、もともとは僕自身、ずっとチームと弟を応援している側だったんです。だからチームの存在も、成績も知っていました。僕が入ったタイミングで、うちのシューターの小田桐選手も加入したんですけど、そこからいろんなタイミングが重なって、全国大会に行けるようになったりして。社会人でも学生の延長線上でもなく、プロでもないんですけど、そうやってアツくなれるものがあるんです。

もちろん普段の仕事も大変かもしれないですけど、やり方や機会があれば、社会人のバスケットボールは熱くできる。もちろん家庭のこともあるかもしれないですけど、こういう社会人リーグがあるということを知ってもらって、その中でいろんな人にチャレンジしてもらえたらいいなと思います。

バスケット仲間や仕事の仲間もいますし、それ以外の友達もいるとは思うんですけど、やっぱり人と人とのつながりというのが、バスケってすごいなと思っていて。「うれしい」とはまたちょっと違うかもしれないですけど、自分の財産になると思うんです。仮に、例えばバスケットを一旦離れて、プレーをしなくなったとしても、人とのつながりはこの先もずっと残ると思うので、そこにすごく価値があると思っています。


人のつながりってすごいなと感じます。僕はプレイヤーとして全然目立つタイプじゃなかったんですけれども、うちのチームの選手たちは、高校や大学で全国大会に行っているメンバーも多い中で、そういう選手たちと今一緒にできているという喜びもあります。大学の後輩と、今こうして同じチームでやれているというのもそうですし、元プロだった下山大選手や下山高選手と、今周りの選手たちが一緒にプレーできているという、思いがけない環境を経験できる。それが本当に社会人バスケットの醍醐味というか、面白いところだと思います。

熱い思いを持って社会人バスケで活動している、各チームの選手・スタッフの皆さんもたくさんいると思うので、そういうところをぜひ見ていただければ、もっともっと価値のあるカテゴリーだと感じてもらえると思います。それによって、高校・大学を卒業した選手たちが地元のチームでやってくれるようになれば、もっと活性化すると思うので、まずはやっぱり見てほしいですね。
