SBL
Columun SBL/Documentary

国産デニムシェアナンバー1の地から国内バスケ界の頂点を目指す!びんご福山デニックスの挑戦。

2026年で3年目を迎える社会人バスケットボール最高峰リーグ「SBL-SB1」が6月20日に開幕し、池の川日立さくらアリーナ(茨城県日立市)で、8試合の熱戦が繰り広げられた。その中で注目を集めていたチームが、昨季SB2を全勝優勝し、入替戦を制して、SB1に昇格したびんご福山デニックスだ。開幕戦こそ富士通レッドウルブズに敗れたが、翌日に初勝利を掴んだ。備後圏域から生まれた若きチームが、日本最高峰の社会人リーグで新たな一歩を刻んだ。

SB1の強度を前に惜敗も収穫
「チャレンジする気持ちで臨んだ」

コートで戦う選手たちのハードワーク、ベンチでのコミュニケーションの熱量。その姿にチーム力の高さが伺えた。

国産デニムのシェアがナンバー1である広島県福山市を拠点に活動し、国内バスケ界の頂点を目指しているデニックスは、2030年度のBリーグ参入を目指して日々の練習を積んでいる。

SB1での初戦は、昨季リーグ2位の富士通レッドウルブズと対戦。シーズン最初の公式戦でもあったためか、第1クォーター(Q)は重さが見えて、8-28の大量のビハインドを背負い、前半終了時点で25-41と差が開いていた。

「(富士通は)昨年の上位チームだけあって、ディフェンスの強度やオフェンスのクオリティがすごいことはわかっていましたが、それをはるかに超えてきました。レフリーにも矢印が向いてしまって、自分たちのプレーができなかったです」とBリーグ経験を持つ福田晃平選手(#10)は振り返る。

それでもハーフタイムでは福田選手を中心に「これがSB1の強度だよ。やり続けよう」と鼓舞して、チームが顔を上げると、第4Qでは24-5と一気に流れを掴んだ。結果は63-69と敗れたものの、後半の追い上げは自信につながったことに違いない。

長本海斗ヘッドコーチ(HC)も、「我々のストロングポイントは若いチームなので、しっかり走って、ボールをシェアして得点を取りに行くスタイルです。その展開を第1Qで出せませんでした」と反省しつつ、「後半は巻き返してくれました」と選手たちを讃えた。

創設から3年目。敗れはしたものの、初めて立ったトップリーグの舞台で最後まで懸命に戦い続けた。「チャレンジする気持ちで臨みました。そこも含めていい経験ができました」という福田選手の言葉に、このチームの本質が滲む。敗戦でありながら、確かな手応えをつかんだ初戦だった。

SB1の舞台で初白星
選手たち自身が考える自主性が光る

敗戦の翌日、横河電機WILDBLUEと対戦したデニックスは1日目の経験を即座に生かした。

「昨日は第1Qから第3Qの出だしが本当に悪かったので、今日(21日の2戦目)は各クォーターの入りから集中してやろうと話していました」と、齋達也選手(#30)は明かす。

第1クォーターこそ14-19と後手を踏んだが、その他のクォーターでは横河電機を上回った。特に齋選手が言及していた第3Qでは、23-10のビッグクォーターを作り、見事課題を修正した。

バスケットボールのリズムを作る上で欠かせないリバウンドも42-28と圧倒。デニックスには二人のビッグマンがいてアドバンテージはあるものの、日本人選手も果敢にリバウンドへ飛び込み、流れを引き寄せた。

長本ヘッドコーチは「前半はちょっと苦しい状況ではありましたが、最後に勝ち切ることができました。選手には感謝しかないです」と語った。

齋選手も「昨日、第4Qで勝てそうかなと思っていましたが、負けてしまいました。今日は連敗だけは絶対にできなかったのでホッとしています」と率直な思いを明かした。

初戦同様、試合を通してデニックスの選手たちは密にコミュニケーションを取り続けていた。タイムアウトでは、選手自らがボードを使用してポジショニングなどを確認したり、他の選手たちも課題を共有したりして、コートに戻っていく。

また、ベンチメンバーのみでもハドルを組んで、チーム全体で戦う姿勢を示していた。

「練習中から選手たちがああだこうだと言いながらやってくれています。選手たちの中で『次はどうしよう』ということを普段からやってくれていることが試合に出ました」とHCは目を細める。

指示を待つのではなく、自ら考えて動く——それがデニックスのバスケットボールだ。チーム歴はまだ若いものの、経験豊富な選手たちが混ざり合うことで、72-58でSB1初勝利を掴んだ。

勝利当日はパブリックビューイングも開催
昇格3年目のチームが愛されるわけ

デニックスの選手たちは、平日14時までスポンサー企業で働き、そこから練習に向かう日々を送っている。週5日の練習をこなし、土日は試合や遠征。

東京ユナイテッドバスケットボールクラブ(Bリーグ3部)でプロ経験のある齋選手は、「朝がちょっと苦手だったんですけど、起きられるようになって、慣れてきました」と笑いながら話す。

練習後はチームメイト全員でジムへ行き、ご飯を食べ、サウナに入る。「休みの日も基本みんな一緒に過ごしていると思います」とチーム力の高さにもうなずける。

応援するファンも多い。現地までかけつけたファンはもちろん、6月21日には、福山でパブリックビューイングも開催され、50名ほどがSB1初勝利の喜びを分かち合った。

「福山市からBリーグへ」という明確な目標に加えて、地域の活動にも積極的に参加する。仕事をしながら、バスケットボールにも取り組み、地域にも顔を出す。だからこそ、創設3年目のチームであるにもかかわらず、応援するファンが多いのだろう。

「創設 3年目のチームとは思えないぐらいのファンの人たちが『頑張ってね』って連絡くれたりとか、現地まで応援に来てくれたりします。そういったファンの人たちの期待に応えたいです」と長本HCは意気込む。

福田選手も「プロを目指していますが、口だけでは実現できません。まずは一つ一つ勝利を積み重ねて、上位のチームに食い込んで、そこからさらにBリーグ進出を狙いたいです」と目標を語る。

デニムのシェアナンバー1の福山から生まれたデニックス。今季の目標は、3月に開催される高松宮記念杯で優勝することと、天皇杯でBリーグのチームを倒すことだ。

簡単には崩れないチームはデニムの丈夫さを表現し、使えば使うほど味わいが増すデニムのように、デニックスは勝利を重ねるたびに強くなる。備後圏域からBリーグ参入へ。その歩みは始まったばかりだ。